社会生活を送るうえで、仕事や学校とプライベートを両立させる重要性は既知のとおりです。昨今新型コロナウイルス感染拡大により新しい生活様式が取りざたされ、リモート出勤やオンライン授業も次第に定着しつつあります。家庭(第一の居場所)、職場や学校(第二の居場所)の垣根がなくなろうとしていますが、それら2つと異なる「サードプレイス」をご存知ですか。サードプレイスとは、家庭(第一の居場所)、職場や学校(第二の居場所)とは異なる3つ目の居場所を指す言葉です。
家庭の特徴はプライベートな時間を過ごせることにあり、自分の事に集中できる場所として機能します。学校や職場は、多くの人々と関わらなければいけない場所であり、一日の大半を過ごす場所です。役職や上下関係を与えられ、何らかの義務を負わされることがほとんどであり、社会の一員として振る舞うことを求められる場所でもあります。
サードプレイスは上のどちらとも異なる性質を持ち、多くの人の中に身を置ける場所でありつつ、集う人々に何ら義務や上下関係などがない場所なのです。ただし、それは単に居場所があればサードプレイスになるわけではありません。重要な要素として「会話」があります。
インフォーマルな公共の空間で、作業や運動を媒体として上下関係のない人々が自由に会話を交わすことができる環境は、時に人々に自尊心を取り戻させたり精神的なゆとりを与えたりすします。
サードプレイスには会話のほかにも条件があります。
1.経済的な状況や社会的な立場などから自由になり、誰もが自主的に参加しているという自覚を持っていること
2.参加者の間に上下関係はなく、すべての人に平等な権利が与えられており、誰でも自由に行動・発言できること
3.アクセスがしやすく、誰もが気軽に立ち寄れること
4.常連や会員が存在すること
5.否定的な態度や排他的な言動は慎み、相手の話に耳を傾け、包容的に接すること
6.お互いが心地良く過ごせるように明るく楽しい会話を交わし、緊張感やネガティブな感情から解放され多くの笑顔で満たされた空間であること
7.多くの人が集うという意味で公共の場ですが、同時に「第二の家」と呼べるような温もりがあること
以上の条件が整ってこそ、居心地の良さを感じ、「また訪れよう」と思える場所になるといわれています。
時空間的制約がある(その日その場所にいる間だけ交流を持つ) “あまり知らない仲”だからこそ、学校や仕事、プライベートと違い過剰に遠慮や謙遜したりせず、学年や年齢、お互いの立場にも縛られず交友を育むことができるのです。
じょいふる会の活動は子供たちが安心して運動できる場所としての機能に加え、家族や私たちボランティアスタッフにとってもサードプレイスとしての役割を果たしており、新たな出会いや学び、刺激を与えてくれます。そうした経験は、社会生活のなかで硬直しがちな考え方を柔らかくしてくれるきっかけになります。